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講談寄席として、150年の歴史を越え、今も変わらず在り続ける「本牧亭」。伝統的なこの場所で、今日も張り扇を叩く5人の講談師にスポットを当てて、それぞれの目線で講談の世界を読み解いてもらった。

第1回  神田  陽司    氏 バックナンバーを見る

講談の魅力講談の人生軌跡を語る

二代目山陽の弟子として正統派の講談を学び、講談独自の「修羅場」を含む本格的古典によって鍛えられ上げられた歯切れのいい口調を駆使して、数多の新作を発表している。
また、都内各地のご案内講談、ポッドキャストによる講談の配信など、新しい分野での活躍に目を見張る、真打 神田陽司氏。
普段の生活から講談についてまで、すべてを語って頂いた。

講談師になろうと思ったきっかけは?

やっぱりおしゃべりが好きですね。元々はお芝居をしようと思って上京したんですけど、そのうちに書く方も面白いと思って脚本の勉強なんかもしたんです。
講談というのは、演じる・書く・ジャーナリスティックな所もすべてが生かせるでしょう。おしゃべりしてご飯が食べられるなんて一番良いと思いましたね。
また、講談は入れられる情報量がものすごく多いんです。
私はおしゃべりなんで、やはりたくさんしゃべりたいんですよ。(笑)
講談の魅力とは?

魅力としては、1つは、講談のリズムである修羅場は日本人のリズムによく合っていて、聞いてて心地良いと思います。
2つめは、史実を元にやっている前提があるので、歴史的ロマンがある。
ただのストーリーではなくて、「300年前にこんなことがあったんだ。」「こんなことに命をかけたんだ」と感じて頂けると思っています。
楽しんでもらって明日の活力にしてもらう、というのは芸能の基本。
講談というのは、わりと説教くさいところもあり身構えさせてしまう場合もあるんですが、聞くことで世界観を深めることができるんですよ。
そこをうまくやらないと講談ではないのかな。
江戸的にいうと、粋じゃない。野暮な部分もあるけど、野暮な部分に踏み込んで楽しんでもらうのが講談の理想です。
講談は押し付けがましくなく狙えるんではないかな。
講談師になって一番辛かった時期は?

芸人は修行の期間が長いですからね。
前座なんかはお給料もあんまりでない、一日中お世話ばかりする。
お茶くみ、着物をたたんだりなど、5、6年は続くんですから。さらに、ネタ・読み物を覚えなくてはならないし。
私なんかは、サラリーマンをやっていた経験があるんで、毎月給料がでないのはきつかったですね。
芸がうまければ食べられる世界ではないですし。
職人であり、プロデューサーであり、顔出して御用聞き(営業)もできなければならない。
一流になられている方は、みんなこれが出来ていますね。

インスタントラーメンは贅沢だったな。前座のときはほんとにお金がなくて、具のないお好み焼きで生活をしのいでいましたから。
普通のお好み焼きでも、三日続けば飽きてしまいますし、一週間も続けば嫌になってしまいますよ。
その時代の活力は?

私は元々調べたりするのが好きだから、師匠から頂いたネタで稽古もするが、図書館で調べたり、またその調べたことを高座のまくらでつかったり。
そういうのは楽しかったですね。
講談師になってうれしかったと思う瞬間は?

今までで一番うれしかったのは、真打披露パーティーの時ですかね。
色々な方に褒められたりと、それはもちろんうれしかったですけど、2次会に行って、何十人かのお客様の前で締めをやったときに拍手が鳴り止まなかったんですよ。
本当に一分以上続いていたと思います。
こういうのは、芸人という華やかな仕事でないとなかなか味わえうことのできない喜びです。
自分の主張に、共感して喜ばれて拍手をもらえるのは、やはりうれしいですね。
前座・二ッ目・真打になって変わったことは?

やっぱり芸人が変わるのは、前座から二ッ目ですかね。
二ッ目地獄という言葉があるぐらいですから。
前座は一日中寄席にいてお世話をしなければいけないですが、二ッ目は芸だけ。
雑用するから仕事ください、というのは通用しなくなります。
真打は、なるまでの過程がすごく大変で、なってしまうとわりと自由にはなります。
私の場合は、オリジナルをどんどんやってきましたね。
慣習・しきたりみたいなものはありますか?

前座のうちは新作をあまり作らないのが慣例ですかね。
二代目山陽は寛容な方だったので、前座のうちから作っている人もいましたが、私の場合は二ッ目になるまで作りませんでした。
古典と新作は、車の両輪といっしょで、古典が出来ていないと新作のほうも回らない。
話の展開にも講談的な展開がありますから。
たとえば、ビルゲイツ(陽司氏の新作もの)をやるにしても、古典の基礎がないとうまく回りませんね。
自分のなかに講談の核ができていないと新作もかけない、というのが私の持論です。
ネタ作りとは?

私は、もちネタをすべて公開している珍しい芸人なんです。
古典のほうは、慣例的な著作権というのがあるんですべて公開していいかというとあまり良くないですが、新作のほうは、すべてホームページに公開しています。

新作については、義士伝があるならビルゲイツ伝、原田雅彦伝があってもいいんじゃないか、それについて私の中で分け隔てがないんです。苦労はありますけどね・・・
内容について詳しく調べていくと、知っていることと違うことが結構出てくるんですよ。
知っちゃうと、しゃべりたくてしゃべりたくてしょうがない。(笑)
それをまとめて形にするのが講談なんです。
私のキャッチフレーズは、"相対性理論から株式取引まで"なんですが、講釈というか物事を解説するのも講談だし、なんでも解説しますよという気持ちがあるんで、それらをいれて色々作っていきます。
文系なんで理系の事柄はわかりませんが、理系的なことを文系が勉強して解説するほうがわかりやすいと思うんですよ。
神田陽司氏
神田陽司氏オフィシャルサイト
最近はどの演目に力をいれていますか?

10年前からやっていますが、今、一番力を入れているのが、坂本龍馬ですね。
理由としては幕末にこだわりたい。来年の大河でやるというのもありますが。(笑)
講談って、幕末・明治というネタはあまりやらないんですよ。江戸時代・戦国時代が多いですね。
私としては、龍馬を引き合いに現代のことを話すと、とてもわかりやすいと思います。
坂本龍馬に風刺を取り入れて作っていますね。
それと、龍馬ものは人物のやりわけが分かりやすいんですよ。
最後に"ぜよ"をつければ坂本龍馬だし、"どん"をつければ
西郷隆盛だし、標準語だと長州兵と、語尾でやり分けられるので。
はじめて講談を聞く方に、お勧めの演目は?

二代目山陽が言っていたのは、"冬は義士、夏はおばけで飯を食い"というのが、季節を感じられるんで良いといっていましたね。
入門としては、自分が知っている話から入るのがいいと思います。
清水の次郎長、四ツ谷怪談、そういう意味では坂本龍馬もいいと思います。
マイナーな人の面白さもあるが、最初としては、やはり知っている話の方がいいでしょう。
 
本牧亭とは?

150年というのは日本の開国史と同じくらいの長さ、あの坂本龍馬も、もしかしたら本牧亭で講談を見ていたかもしれません。
伝統の重みというより現在も生きている。
当たり前のように、現役で活動しているところが素晴らしいと思います。
このままの努力をつづけていたら、150年先も続いているでしょう。
150年前と同じ場所で同じ演目を聞く、まさに、古典の重みはロマンの重みですね。
私は、150年間を受け取ると同時に150年後に送り出したい。
おこがましいがあえて言わせて頂ければ、「私の龍馬を150年後も誰かがやっている、なんて(笑)」
神田陽司氏
講談がもっとこうなったら良いと思うことは?

やっぱり新しいものをやっていくことじゃないかな。
古典を守りつつ、新しいものをやっていくというのは、晴れのち雨のち曇りみたいな言い方になってしまうんですけど。
新しいものという思いを、常にもっていることが大事で、古典であっても講談は新しいものでなくてはいけない、と考えています。
全国の人に一言

講談をまず聞いてくださいと言う意味をこめて、私のホームページを見てください。
そこに入り口があります。
テレビを回してもなかなかやっていないが、私のホームページには原稿、映像、音すべてありますので。
この記事にあわせて3月上旬に映像か音声を配信します。
また、3月21日の2時30分から、講談が初めての方から楽しめるプチ独演会「アキハバラ本牧亭」を行いますので、楽しみに待ってて下さい。
予約制です。詳しくは、私のホームページを見てください。
<神田陽司氏についてもっと詳しく知りたい方>

『講談師・神田陽司のサイト』 http://www.t3.rim.or.jp/~yoogy/
『日本講談協会』http://www.j-kodan.com/

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